アルゼンチン赤といえば・・・マルベック
と、多くのワイン好きは答えると思いますが、
密かに注目されているのが、実は、ピノ・ノワール。
アルゼンチンも南に下ると、非常に冷涼な気候をもち、
ピノ・ノワールにも適した環境となっているのです。
実は、古くからピノ・ノワールは植えられており、
樹齢80年のブドウ畑もあるというではありませんか。
そして、その畑をみつけたのが、
イタリアの超有名造り手であるサッシカイア・ファミリーの
ピエロ・インチーザ・デッラ・ロケッタ氏でした。
サッシカイアといえば、
カベルネやイタリア品種を思い浮かべるでしょうが、
ピエロ氏は、個人的にはピノ・ノワールが大好き。
ニューヨークで開かれたブラインド・テースティングの
イベントで、彼がブルゴーニュのピノと予想したワインが
実はアルゼンチン産だったことで衝撃を受け、
アルゼンチンに渡り、ワイナリーを造ったのでした。
2004年の初リリースから、その品質の高さは注目され、
今や、ロバート・パーカー氏の率いる[ワイン・アドヴォケート誌]
において、
『ボデガ・チャクラのピノ・ノワールは南米第一位である』
と絶賛されるまでになっています。
そして、ご紹介するのは、スタンダード・キュべである
[ボデガ・チャクラ・バルダ・ピノ・ノワール 2016]
完全ビオディナミの自社畑の比較的若い樹から造られる
このワインは、スタンダード・キュべとはいえ、
毎ヴィンテージ高い評価を得ており、
今回ご紹介する2016年はまだ評価はありませんが、
昨2015年は、パーカーポイント92点、2014年は91点など、
毎ヴィンテージ高く評価されるワインとなっています。
[ボデガ・チャクラ]のブドウ畑があるのは、
パタゴニアは、チリとアルゼンチンにまたがる地域ですが、
チリ側は降水量が多く、氷河が流れ着くことでも有名。
一方、アルゼンチン側は、
アンデス山脈で水蒸気がさえぎられるために非常に乾燥し、
砂漠のような光景が広がっています。
年間降水量は、わずか18センチ、
湿度が最高で30%にしかならない乾燥した気候と
照りつける太陽、強い風、激しい昼夜の寒暖差の大きく、
ブドウ栽培には理想的な環境です。
このフィロキセラもよせつけない理想的な環境のもと、
ワイナリーは、認証はとっていないものの、
完全なるビオディナミによってブドウ栽培をおこなっています。
ピエロ氏は「畑が健康であれば、生き物が戻ってくる。
生き物が戻ってくれば、自然とブドウの風味が豊かになる。」
という信念のもと、自然との調和の取れた畑造りを目指
しており、今では畑をチョウやハチが飛びまわり、
鳥が巣をつくり産卵する姿さえ見ることが出来るといいます。
さらにその栽培方法だけでなく醸造でも驚くべきこだわりがあります。
その代表的な手法のひとつが、手作業による100%除梗。
「除梗」はブドウの房から茎と実を分けることを言いますが、
通常では機械を使って除梗しますが、
なんと、一つ一つの人の手によって茎を取り去るのです。
気の遠くなるような作業ですが、この過程により雑味や
エグミが一切ない果実味や旨みだけが詰まったワインが生まれます。
その味わいは、
『色は透明感のあるルビー色。
グラスに注ぐと、ラズベリーやイチゴ、花の香りが立ち上がり華やか。
口の中では、フレッシュな果実味がいっぱいに広がり、
森の下草的なフレーバーもあり、繊細ながらもしっかりとしたミネラル感、
ほどよいタンニン、存在感のある酸があり、余韻も長く、
じっくりと味わって飲んでいただるワインです。』
土壌は、堆積した石灰を豊富に含み、柔らかいながらも
存在感のあるミネラル感と華やかな香水のような香りとの
対比も好印象です。