今回ご紹介するワインは、ちょっと意味深なワイン。
というのは、とあるカルト級の造り手から、
樽で買い付けて造られたワインなのです。
そこそこ大きなワイナリーですと、いくつかのラインをもっていて
プレミアムラインからはずれた樽をデイリーキュべにブレンド
するものですが、そんなことをしないワイナリーなのでしょう。
造り手の名前は出さないという約束だということで、
わかっているのは、「S」で始まるということ。
ブドウ畑は、ナパでも有数のスタッグス・リープ・ディストリクトにあり、
アトラス・ピークの麓ということ。
飲んでみると、深い凝縮した果実感があり、綺麗で滑らかな
テクスチャーを持つカルト系のカベルネです。
ぜひ、想像を働かせながら飲むと、
さらに楽しめるワインではないかと思います。
それが
[ザ・S・ナパ・ヴァレー・カベルネ・ソーヴィニョン 2016]
ご存知のとおり、ワイン造りにおいては、区画ごとや収穫日などで
別々に樽熟成させ、最終段階で樽を選んでブレンドするものですが、
そのワインに選ばれなかった樽は、
多くの場合、セカンドとしてリリースされます。
ムートンやラフィットといったボルドーのトップ・シャトーでは、
昔からそういうシステムでやっていますが、
カリフォルニアのトップシャトーでは、
セカンドをもっていないところがあります。
その場合、樽ごと他のワイナリーに販売することになります。
このワインは、そんな「絶対に名前を出さない」という約束の上、
樽で譲ってもらって買い付けたシークレット・ワインなのです。
10年ほど前に、
[スクリーミング・イーグル]の樽落ちかと疑われるワインが出回り、
世界中で話題になったこともありましたが、
今回ご紹介するワインは、
畑がスタッグス・リープ・ディストリクトにあるというので
スクリーミング・イーグルではなさそうです。
フレンチオークの新樽とアメリカンオークで計16か月もの長期熟成を経て、
ナパ・ヴァレーのカベルネらしい、
完熟した凝縮果実味と力強いタンニンが感じられ、
ボリューム感に溢れ、
ビロードのような滑らかなテクスチャーがあり、
力強い味わいに仕上がっているグレートワイン。