元旦だと言うのに大勢の人が居る。
星一は、昨日少しだけ瑠璃子と町子とも初めてなのでスキーの着け方から、そして歩き方を教えた。
着けたとたん前のめりになる瑠璃子と尻餅ばかり付いている2人は、
その度に奇声を上げては大笑いして、とても滑り方の基本さえ覚えるまでもなく瑠璃子は、
疲れたからもう戻るとホテルに戻ってしまった。
翌日、元旦は良く晴れていた。
星一の後輩の沢田と大森は、瑠璃子と町子に滑り方を、また1から教えていたが、
星一が教えた時と同じように中々要領を得ないのか、元々運動神経が悪いのか思うようにいかなかった。
「もー、何でもっと簡単に滑れないのよ!」と、疲れてきたのか瑠璃子は、
辺りで上手に滑ってくる人達をみながらイラついていた。
ところが、町子は、何とか足をハの字にして5メートルくらい下に滑り、
振り返ると「ルリー出来たよ。」と、うれしそうに瑠璃子を見ていた。
「何よそれー、ちーちゃんズルイ」と先を越された思いが瑠璃子にやる気を出させた。
「もりさん、教えてちゃんと滑れるようになるまで・・・。」
「おお!やる気出てきたの?」と大森は、
気合の入ってる瑠璃子を見て滑れるようになるまで頑張るかと、自分も気合を入れた。
沢田は、町子の所に行くとスキーを履いたままの歩き方を教えていたが、
これまた足が広がっては転んでばかりに町子は、笑っていた。
瑠璃子が、やっと少し滑る事が出来た頃スッート上から降りてくるとザザッと雪をかき上げ瑠璃子の前に星一が現れた。
「どうだ、調子の方は・・・。」と大森達を見て尋ねると、
「何とか滑る事が出来るようになったところですよ、先輩、休憩ですか?チョット休みますか?」と、
近くにあった休憩場を指差した。
「そうしよか?」と瑠璃子達に声を掛け5人は、休憩所に向かった。
「お兄さん上手だよね、私もあんな風に滑れるようになるかなぁ?」」と町子は、瑠璃子に話しかけると
「毎年、冬になるとスキーばかりしてるんだもん!今回は、加奈さんと一緒に行くのかなって思ってたのに、
誘ってもいないんだから可哀想だよね。」
それを聞いてた、大森が瑠璃子の話に食いついた「あっそうだ!先輩、彼女出来たんですよね。」すると、
沢田も「何で、連れてこなかったんですか?」と星一に尋ねた。
「何に、する?温かい飲み物でいいか?」と、大森と沢田の尋ねたことには答えず、皆に聞いた。
「ね!加奈さんのことには触れたくないみたいでしょ。
瑠璃子は、兄が家に連れてきたことやその後の兄の態度が気になっていた事を、
昨夜、布団の中で町子に話しながら2人は眠りについていたのだった。
星一は、今は何も考えたくない気持ちが強く、
いつかその答えを出さないといけないことは判ってはいたが、
考えれば考えるほど気が重くなって行く自分が嫌になっていた。
大勢居る中では、何も、考えないし思わないだから今だけの時を過ごすことで星一が、
気持ちを楽にしていたことは誰にも判らない事だった
瑠璃子たちも、2日の間でリフトに乗って上から恐る恐るだが、
ボーゲンでゆっくり滑ってこれるようになっていた。