帰りは、弘幸の運転で星一と運転している弘幸以外全員が疲れたのだろうか、深い眠りにいた。
バスにしろ電車にしろ微妙に揺れる乗り心地は人を眠りに誘う。
「なあ!せいちゃん、彼女の事、実際どう思ってんの?」弘幸は、昔からの馴染みだから星一の事は、判っているつもりだった。
が、女性の事となると弘幸も星一の考えが判らなかった。
「学生の時も、彼女出来て何ヶ月も付き合って続かなかった時も・・・。
判らないっていってたよな。
それも彼女の気持ちがじゃなく自分の気持ちがなんて・・・。
そう言って別れたり」
弘幸は、小さく話しながら星一の気持ちを探った。
「あれは、彼女が何で手も繋いでくれないのとか、・・・好きじゃないんでしょなんて・・・。
判んないよそんなの、嫌いでもなかった一緒に居ても楽しかった。
他に好きな娘でも居るんでしょなんて、会うたびに言うから疲れちゃうんだよな。」
星一は、フロントガラス越しに見えるどんよりとした冬空の遠い先を見ているかのように小さく呟いた。
「そんなんで振られたこともあったしな、判んなかったあの時は・・・。」
見つめたままの瞳は、どこか寂しげで「なあ、ひろちゃん・・・。」そう言って暫く黙ってしまった星一に弘幸は、
ひとつ後ろに座っている星一を、ルームミラー越しに見て「ん!何か?」と
「結婚すんだよな、そう思った心境って何?」星一は、助手席で眠ってる晴香さんを見た。
「何だろなー、ズッート一緒に居たいって確かそう言われて、結婚すればズッート一緒だろ、それでかな・・・。」
弘幸は何も難しくは考えていなかった。
「ひろちゃんが、言った事だよ」寝ていると思ってた晴香が、
シートに横向きで持たれたまま目を開くとそお言って星一を見た。
「えっ!俺が言ったんだっけ。」と苦笑いしながら晴香が起きてたことは誤算だった。
もちろん晴香も同じ気持ちだったのだろう。
「そうよ、忘れたの?」と運転してる弘幸を覗きこんで微笑んだ。
星一は、どっちが言ったなんて事はどうでも良かった。
そうだよな、結婚ともなると2人の気持ちが重ならないとそうはならない。
と2人を見てお似合いだもんなと思った。
「せいちゃんは、彼女が出来た事は聞いてるけど、
何か、気がない見たいだってヒロに聞いたけど好きじゃないの正直なところ・・・。」
晴香は、星一を何で付き合ったのと言わんばかりの顔をして尋ねた。
「んー、嫌いじゃない。違う!そうじゃない」星一は、何か判りかけてきた自分の中にあるその思いが何なのか。
それ以上なんだ。
そうだ!星一は、胸の内で叫んでた、それ以上なんだと
瑠璃子は、ゆっくり目を覚ますと「おはよう!」と呟き「良く寝れた!」と両腕を小さく伸ばし
隣の町子がまだ寝てるのを見て「良く寝てるねー」と町子の顔に自分の顔を近付けた。
起き掛けの眠りが人の気配を感じたのか町子は、パッと目を開けて目の前にあった瑠璃子の顔を見て驚いた。
「わっー!」とその声で沢田も、大森も何事かと見事に目を覚ました。
星一と瑠璃子、弘幸、晴香の4人は大笑いした。
車は、既に自分たちの住む町の中にいた。
20時前そんなに遅い時間でもなかった「何か、食べていこうか?」弘幸が言った。
もちろん全員賛成で、瑠璃子が、年末に星一と言った食堂を勧めた。
「おにいちゃん、こないだ行ったオムライスのお店がいいな。」と提案すると、
誰も反対するものも居なく「オムライス、美味しかったよー」と瑠璃子は、
その香りと味を思い出したのかお腹が鳴ったのを、また皆大笑いした。
「じゃあ、そこで決まりだな。」と弘幸は、星一に場所を聞くと車は、目的地に向かって走った。