年が明けても、学校に行く時間は3人とも変わることもなく、
いつものようにホームに一番先に居たのは真理子だった。
親が早くに仕入れに行くこともあってだった。
弥生は、今日見た初夢が数年前に聞いた話しと重なり不思議な気分で目覚めたのかいつもより少し遅れた。
久しぶりに晴れた冬の朝、なんとなく清々しかったが、
吐く息は白く2人は休みに過ごした出来事などを話しながら理沙を待っていた。
すると、二人より少し背が高い理沙が、ゆっくりと歩いてきた。
「りさ、来たみたい。」と、言いながら弥生は目が点になっていた。
もちろん、真理子も同じだった。
赤っぽく染まっている髪と、薄っすらと引いた口紅が2人を驚かせるのには充分だったのだ。
「りさー!どうしたの」と、弥生が言う「何にそれー!」と真理子が言う、
「似合うでしょう。」と、かなり気に入ってる様子でにこにこと、
ピースサインをして2人に近づくと少し照れていた。
「ど・う・し・た・の?」再び弥生はゆっくりと尋ねた。
「クリスマスパーティーでね・・・。凄くいい人に知り合ってね・・・。」
「とも・・・。」言いかけた真理子は「男の人?」と言い換えた。
「まさかやな、感じのエエお姉さんや。」
「はっ!」2人同時に理沙の言動が聞き慣れない言葉調にまたしても驚いた。
休みの間に何かあったことは弥生も真理子も判ったが、
話を聞けばきっと長くなるだろうなーと感じた。
でも、その理沙の変わりようは、弥生が「美高女ね」と言って微笑んだ。
「びこうじょ・・・。」真理子が尋ねると弥生は続けた「そうよ、美しい女子高校生って事」
「そっかー!」と、真理子は納得した。
「それにしても、りさーさ見違えたよ、ねえ、やよ!」
「うん」弥生は、まじまじと理沙を、見つめた。
「誰だって、変わっちゃうって、やよも、まりも、今度やってみたら・・・。」
そう言ってうれしそうに微笑んだ。
電車は、年が変わろうと季節が変わろうと時刻通りにやって来る。
時と共に大人になっていく実感なども無く、でも確実に大人になっていく事を今、理沙を見てそう思ったのだった。
春になれば3人は別々の道を歩き始め、それぞれの歴史が綴られて行く、
「でも、りさ、先生に呼ばれるよね、きっと・・・。」と弥生は心配した。
「生活指導の、坂中はうるさいし直ぐ親を呼ぶからなぁ」と真理子も気遣った。
「承知、だもの!親が、私はうるさくは言いたくないって、私がしたいなら・・・。
でも他人に迷惑はかけないでよって、学校に呼ばれるくらい平気だから、それでりさが、感じた何かで考えてよ。」
って「りさの、お母さんらしい・・・優しいよね。」弥生は、いつもそう思っていた。
それは、父親が出て行ってから特に子供たちに優しいんだよなーと思った。
「良いお母さんだよね!」と、真理子もそー思っていた。
電車の中でも理沙の話題で3人は周りの事も気にならず話に夢中だった。