前回紹介した[クネ]から、今回はリオハと双璧をなす、
スペイン屈指の銘醸地プリオラートの赤ワインをご案内いたします。
プリオラートとは、スペイン北東部、地中海地方の
カタルーニャ州タラゴナ県に位置する小さな産地で、
スペインワイン法により特撰原産地呼称(D.O.CaまたはD.O.Q.)を
名乗ることを許されています。
これはクネの本拠地であり伝統的銘醸地のリオハに次ぐ快挙で、
現在ではこの2産地しか認められていません。
既にプリオラートの評価は素晴らしく、
世界のプロフェッショナルや愛好家によって支持され続け、
その価格は最も高いワインで10万円を超えるものもあるほど。
スペインで最も高級産地の呼び声高く、
なおかつ最も成功を収めている産地といっても過言ではありません。
そんなプリオラートの地で、老舗ワイナリー[クネ]が
赤ワインを造るとこうなるのか・・・
と思わず溜息をもらさずにはいられない一本がコレ。
正直申し上げて、
リオハとプリオラートでは気候・土壌・用いる品種も全く異なり、
まるで別の国の如く食文化や人々の考え方にも天地の違いがあるのですが、
これがプリオラートのテロワールを大変綺麗に表現しながら、
しっかりと[クネ]の哲学も息づいているような、素晴らしいワインなんです。
その中身も物凄く、樹齢30~70年と古木のガルナッチャ40%、
マスエロ40%、カベルネ・ソーヴィニヨン20%を使用。
栽培されるのは標高400mに位置する北向きのリコレリャ(スレート)土壌の畑で、
総作付け面積5haで植密度3000本/ha、
さらには収量39hl/haと、非常に低収量。
丁寧に手摘みで収穫し、フレンチオーク樽で5ヶ月間熟成させた贅沢なキュヴェなんです。
とても凝縮したダークチェリー、カシス、
ブラックベリーの赤~黒果実のアロマに、
モカコーヒー、バニラの甘やかさ、杉やハーブの清々しさ、
リコリス、クローブのスパイス、
さらにヨードやスモーキーなミネラルなど、
プリオラートの魅力がふんだんに詰まった芳香に心が浮き立ちます。
口中では熟して緻密な果実味、
タンニンはベルベットのように柔らかでしなやか。
酸は上質で豊かに含まれており、旨みもしっかりと感じられます。
濃厚でリッチな飲み心地。アルコールのボリューム感もあり、
とても充実したフルボディの赤ワインです。
余韻も長く、満足感の高い一本。
ご家庭では、サーロインステーキ、胡椒の効いたソーセージ、
お肉のパテ、ハードチーズなどに合わせて、
リッチで贅沢なディナーをお楽しみください。
このワインは、巡礼地と銘醸地を繋ぐ、
[クネ]の新しいワイン・プロジェクトとして造られました。
スペインの最西端には、キリスト教の聖地
サンティアゴ・デ・コンポステーラがあり
毎年世界中の人がスペイン国内の巡礼路を通って辿り着きます。
その道すがら多くのワイン銘醸地を訪れることができ、
旅の休憩場所としても有名です。
ワイン名の「エル・カミーノ」とはこの巡礼路の事を指します。
[クネ・エル・カミーノ・プリオラート]はこの巡礼の旅と、
スペインの銘醸地プリオラートを繋いだワインです。