風と香りの中で 30

鉄次は、姉の理沙をまじまじと見つめ「おねえちゃん、テレビに出てる人みたいだった!」と、久しぶりに帰ってきた理沙に驚き、
楓もズット理沙の変わってしまった髪を見ては「赤いよ?」と、
指をさすと鉄治が「赤くない!茶色だ!」と理沙の髪ばかり見ていた。

今でこそ、髪を染めるのは個性でありファションとしてさまざまな色が売り出されているが、
時代とは不思議なもので、髪を染めているだけで不良と見られていた時代は確かにあった。

そして数十年経って当時の女性たちが大人になり親になりその時に出来なかったことを、
着実にファッションとしての位置を作り上げてしまった。

だが、理沙は、不良だなぁなどと言われる時代の中で気にもせず、
澄江の髪の色を素直に取り入れただけだった。

「綺麗でしょ」何もわからない、まだ小学生の鉄治と楓は「うん。」と大きく頷いた。
大きな瞳で理沙を見ながら