例年になく大雪になった山間部は、
途中のチェーン規制により星一は大森と2人でチェーンを付けるのに四苦八苦していた。
「先輩、どうですか?」と、チェーンなど付けた事のない大森は、只、見ているだけで何も出来ず、
時折吹き付ける風に震えながら見ていた。
「もう少しだよ、大森後ろのタイヤを見ててくれ」と、車に乗り込みバックさせた。
「オーライ オーライ、あっストップ」大森の大きな声で、奥で寝ていた弘幸は目を醒ました。
「おお!何してんだ」熟睡していたのか、出かけに疲れたら交代するなどと言っておきながら
晴香と寄り添いながら眠ってしまっていたのだった。
もちろん星一と助手席の大森以外は皆、気持ちよさそうに寝てたのだった。
特に二人は気にすることもなくここまで来た。
弘幸が起きると妹たちも起きて何が起こったのかと辺りを見渡し「着いたの、お兄ちゃん」と、
目を擦って曇り硝子を手で拭くとそこには大森が立っていた。
「何してんの、もりさんは?」と呟いた。
星一は、もう少しだからと車を降りて最後の仕上げをして、暫くして2人が車に乗り込み再び走り出した。
既に辺りは雪の壁が道路沿いに出来て瑠璃子とその友達は、
始めて見る景色に驚き「わーあ、凄いね!雪ってこんなに積もるの?」
2人は、まん丸な目をして窓を拭きながら暫く眺めていた。
「そろそろ着くけど、もっと驚く景色がみえるさ」と慎重に運転しながら、瑠璃子達を期待させた。
やがて、車は、ホテル専用の駐車場に入ると既に多くの車が止まっていた。
中には何日も滞在してるだろう車は積もった雪で原型がわからないくらいになっている。
ここ3年来ている事で迷うこともなくスムーズに無事到着した。
既に昼を2時間も過ぎていたが、どんよりと曇った空には厚い灰色雲が辺りを暗くしていつでも雪を降らすぞ、
そんな感じが冬の独特の寒さをも醸し出していた。
「早いところ、移動しよう。何時降りだすか判らないからな」
星一は、そう言って車から降りると後ろに周り荷物を取り出していた。
瑠璃子達2人はそれ処でなく、始めてみる大量に積もっている雪を丸めて投げ合っていた。
すると瑠璃子は兄に向かって投げたのが見事に星一の背中に当たり、いきなりの衝撃に何だ!
と振り向いたのが運悪く友達の町子が続けて投げた雪の塊は、額にゆっくりと当たった。
わーあ!とびっくりしたのと冷たい衝撃で奇声を上げた星一を弘幸たち一同はそれを見てたのか、
辺りは皆の笑い声が響いたが、星一は笑えなかった。
「ごめんなさい!」まさか、当たるとも思っていなかった町子は恐縮そうに星一に頭を下げ、
瑠璃子を見ると2人は、舌を出して肩をくすめた。
「せいちゃん、注意不足だな!何が起こるか判らないご時勢だ常に回避出来る瞬発力が必要だよ」と、
尚も笑いながら言うと「出来るか!」と、雪を拾い両手で丸め始めた。
皆は、それぞれ顔を見合わせ、やばいかもと取り出した荷物を持ってその場を離れた。