店の前に着くと、弘幸が先に中に入る。
「喫茶 ナイト」と、呟きなが星一が後から入った。
相変わらずの、大勢の客に驚いた。
自分達と同じ年代の男性が多かったのに「相変わらずなのか、この混雑は?」と言いながら、
弘幸は空いてるテーブルの座席に着いた。
星一は、カウンターの中をチラリと遠慮気味に見ながら、
今日はいないのかと見当たらないウエイトレスを気にしながら座った。
直ぐに、注文に来たウエイトレスは、前とは違う女性だったが、
どことなく似ているウエイトレスを見て星一は、「んー!」と小さく唸ってコーヒーを頼むと、
弘幸も「俺も!」と、ウエイトレスは何故かニコニコしながら注文を取っていった。
二人は、話し始めると尽きないくらい夢中になり、時を忘れるくらいだ、
そんな、最中に、チャリン チャリンと金属音がした。
「ん!」星一は、直ぐに反応して落ちたスプーンを拾い上げるウエイレスを見ると、彼女だった。
「また!」と、見つめた。
星一は、あの日と、同じように全身に何か不思議な感覚が飛び込んでくる衝撃を受けた。
「わざと!」と、言ってはいけない言葉がつい出たのだ。
そこへ、すぐさま「せいちゃん、今日もブラック?」と、空気を読んだのか弘幸は声を掛ける。
「変えて下さい!」と告げると、「ハーイ^^」と首を左に小さく傾け微笑んだ。
何だ?この胸が詰まるような感覚は、二人のウエイレスが動くたび、
目だけが追いかけ弘幸が、話しかけても何処か上の空だった。
「出よう!」星一は、時計を見て慌てて店を出ることを弘幸に言って、
レジに行くと彼女が居て「可愛いな、やっぱり!」そお思いながら「ありがとう!」
と言った彼女に「あ、ああ!」としか言えなかった。
車の中は、まだほんのり暖かく、何も話さない星一の様子がおかしいのに、
弘幸は既に気付いていたが「なあ、せいちゃん・・・」と言いかけて止めた。
弘幸は、星一の考えてることなど判らなかったから
「あの店の混雑は、皆あのウエイトレス目当てじゃーないか?競争率高いなー!」
ボソッと言ったのは星一に、忠告の思いも込めて言ったのだが、星一には無意味な言葉だった。
「じゃあ、またな!」と弘幸を降ろすと、一人来た道を戻って行く。
今は、只、星一は、目に浮かぶウエイトレスの事を知りたかったのだ。
