風と香りの中で 34

弥生は、理沙と電話していた。
誘いを断れない以上一度は出かけなければ、執拗に誘いを掛けてくるだろう男に気に入られた事が、
やはり弥生には今は、一番の悩み事だった。

「どうしたらいい!」と、弥生の困った口調に理沙は
「私も、連れてってよ一緒にいけばいい」と大勢になればそれはそれでいいのかもしれない。

「でも、何て言うかなぁ?」「大丈夫だって、かすみちゃんと私の3人なら行くって言えばいいのよ。」
と意図も簡単に答えを出した。

「そうだね」弥生の顔に笑みが見えた。
「そうだよ、一度行けば、次は次でまた相談に乗るよ」弥生は、理沙のこんなところが気に入っていた。

少し気が楽になった弥生は、高校生活最後の学期のため机の整理でもと、
机の中を片付ける余裕が出来たのか、引き出しを開け中の物を丁寧に机の上に乗せて行った。

すると、まだ小学生だった頃のノートが一冊出てきた。
何かを書いた記憶があったのだが忘れていたものだ。

それが大切に保管していた事を思い出すのに時間は掛からなかった。
祖母から聞いた話しをその時の弥生なりに書き留めたものだった。

「あっ!」弥生は、その時の自身の気持ちと祖母の言葉を思い出したのだった。