風と香りの中で 19

目印が良かったのか、理沙は、あまり迷うこともなく目的地に着くことが出来た。

雑居ビルの1Fに有ったその場所は元々何の店だか分らなく扉の前には面長に黒縁の眼鏡を掛け長身にスーツ姿の男性と、
白地に大きな椿の柄の入ったフレアワンピースに赤いカーディガンを羽織り赤いヒールを履いた女性が立っていた。

理沙は、ゆっくりと近付きバックからチケットを取り出し、その女性に差し出した。
女性は、チケットを受け取り「ここよ」と微笑んだ。

男は近付き、遠藤ですと名乗り傍らにいたその女性に中に案内するように促し、
理沙の背中を押してどうぞ!と言った。

理沙は、遠藤に「大山智彦君はきてますか?」と尋ね、
遠藤は少し考えると思い当たる人物が分ったのか、まだ、来てないなと答えた。
「そうですか・・・。」

残念そうに理沙は、女性に案内されて中へと入っていった。
中に入ると最初にクリスマスツリーが幾つか置いてあるのが目に付き、
小さく流れてるクリスマスの曲を聴くと、気持ちが向上した。

既に数人の男女がいた。中を見渡しながら歩き、右奥の4人テーブルに誰もいないのを見つけ、
「あそこでいいですか?」と指をさしながらその女性に言って、
いいわよ!との返事でそそくさにテーブルまで歩いた。

何かこうゆうのって始めてだよね。
と自身に問いかけながら奥側の椅子にバックを置いてその横に腰掛けた。
智君、遅いよ何してるんだろう、理沙は、智彦が始めから来ないつもりなのを知る由もなく唯、待つことを心がけて、
目に付いた数十種類の料理や、飲み物はまさにパーティの雰囲気があり、その奥には厨房らしき部屋が有り理沙は驚いた。

智彦が何故こんな、パーティーのチケットを持っていたのか、理沙は、考えたが判る筈もなく時間が経つにつれて、
緊張感が体全身に出てくるとお手洗いの看板を見つけ、
戻ってきたら智彦が来てるだろう期待をしながら、席を立った。