時と共に優しく 2

「むくに、ひとつ聞いていいか!」
お風呂の中で椋と父親は、何時ものように話をしてた。

「なあにぃ!」
「ママから聞いたぞ!お姉ちゃん達の言うことを聞かないって」
「えっー!うそだよ、わたしなぁんにもしてないのに何時も私の事悪くいうから、
むくは、お姉ちゃん達キライ!」
「そうかー」
「そうだよー、わたしなぁんにもしてないもん!」
椋は、口を尖らせその数々を思い浮かべていた。

「それでねーわたしの書いた絵を何処かに隠してるもん、パパ探してよ」
まん丸なその目は、何かを訴えてるように父親を見詰めていた。

「わかった、むくは、学校に友達いるかい」
「いないよ!」
「そっかぁ、じゃあ何時も何してるんだい!」
「絵を描いたりー、心の中で歌をね、歌ってるの」
と子供ながらに自分の秘密にしている事を、
父親に話しながら照れくさそうに、
少し上目遣いでそう答えた。

「むくは、歌も絵も好きなんだ。」
「うん!」更に嬉しそうに大きく返事をしたその声は、
風呂の中ではとても綺麗に響いて聞こえた。

「それに、わたし詩を書くのも好きだよ、
白い猫に合いました  汚いけれど とても可愛いく わたしはお友達になって・・・・。」
むくは、目を閉じて、何度も書いていたその詩を暗記していた。

「上手だな!、でも、家は猫は飼えないからな!」
「うん!いいのよ!くもはきっと一匹で居る方がいいと思う、
だって他の人が来ると逃げてしまうもの」
その白い猫にくもと名づけ読んでいた。

真っ青な空にふわふわな真っ白い雲、
空を良く見上げていた椋は、
雲に似ていると付けた名前だった。

「あのね、パパ、誰にも言わないでよ、わたしの秘密だからね!、約束ね」
「ああ!わかった!」
唯一、父親だけには心を開く椋は、
自分の秘密を打ち明け嬉しくなったのか、
小さな声で歌い始めた。

「むくは、歌も上手だし声も綺麗だ」と褒めたが、
声は思春期に変わってしまう、
が、父親は我が子ながらと関心していた。

そして、
その心の何か子供にしてはあまりにも切なく哀しく聞こえたのか、
そっと抱きしめた。