時と共に優しく 3

「むく、あんたパパに私達の事、告げ口したしょ」
「悪く、言ったんでしょ、
はいこれ、あんたが何時も置きっぱなしにしてたから、
私たちが片付けて置いたのよ」
2人の姉は、矢継ぎ早に捲くし立て、
椋の書いた絵を投げ捨てた。

椋は、俯きながら「パパの嘘つき!」と小さな声で呟き、
約束を守ってくれなかったと悲しい気持ちが湧き上がってきた、
が、小さな心ながらに泣かないと決めていた椋は、
唇をかみ締め耐えていた。

信じるもの全てが滲んで見える椋の心は砕け散ってしまいそうなくらい高鳴る鼓動を、
自分の絵を拾い上げ家を出て、公園に急いだ。

「くも、くも!」茂みの中を覗き込み呼んでいると、
にゃーと飛び跳ねるように椋の、背後から現れた。

「何処行ってたの」椋の足元をくるくると回りながら、
体を摺りよせ甘えてきた。

「あったよ!ほら、私が書いたのよ、判るこれはあなたよ」
くもに見せてもわかる筈もなかったが、
にゃーと椋を見詰めた。

そして、ベンチに座り椋の横で寝そべるくもに、
自分の歌を小さな声で聞かせた。