暫くすると、人波の中から現れた智彦に、小さく手を振って微笑んだ。
「ごめんよ!」時計を、チラリと見た。
「平気だよ!何時間でも待つよ智君なら・・ね!」
うれしさが滲み出るくらいの表情で、また、微笑んむと「どれくらい振り?」と、
智彦を見て答えを悪戯ぽい顔して待つ、理沙に「何のことだ!」と言わんばかりの、
顔をして首を傾げた。
こうして二人で出掛けるのは、初めてではなかったが智彦は忘れてしまっていたが、
理沙は、まるで昨日の事のように覚えていたのだ。
「何時だったっけ?」と言いながら歩き始めた智彦について、
理沙も歩き始め「やよが、一日だけ入院したときよ。」
「あっそうだ!そうだ」何かを思い出した時のように
「そうだよなあ!なんで入院したんだっけ?」と、
思いだそうとしてるのか立ち止まって考えた。
「知らない!」
ちょっと気に入らないな気分で答えたが
「あれからだよな。仲良くなって行ったのは・・・。
小さくて、どう見ても高校生には見えなくてな」と智彦は、まだ続けて話してた。
「もおいいよ!」言葉になってなく、
一人ゆっくり歩き始めた理沙の横に並んで歩きながら「怖い!って言われたよ」
「えっ!」今度は、理沙が立ち止まった。
後ろから来ていた人たちは、思わず流れが止まった川のように、
慌てて横をすり抜けて行った中で、
「それが、別れた理由なの?」「わかんない、何が怖いのか。」智彦は、歩き始めた。
「あいつ、何かしっかりしてるよ。僕なんかよりズっーと大人だし、で、可愛いしな。」
「いいよ、もう!」理沙は、だんだん苛々してきてた。
理沙は、智彦とは中学からの知り合いだった。
だからなのか、いつか付き合うだろうと思っていたのは、理沙の方だけで、
智彦は、弥生と知り合って一年後に付き合う事となった時の、
理沙の気持ちは誰にもわからなかっただろう。
でも、今、弥生と別れてしまった智彦の事は、やっぱり自分のほうが判ってるんだと、
やよと別れ淋しさもあって・・・。
理沙は、楽しい気分だった数分前の気分から落ちていきかけたが、
「智彦のばーか!」と思いっきり心の中で叫び顔を上げると、
智彦の手を取り歩き始めた。理沙も、しっかり大人になりかけてた。
いきなり手を取られ、びっくりしながらも、それにつられ横に並び、
人波の中に手を繋いだまま二人は消えて行った。