風と香りの中で 23

クリスマスが過ぎると、一気に年明けに向かって街並みも正月ムードになっていた。
すっかり良くなったのか、喫茶ナイトには姉妹がいつものように働いていた。

40度の高熱は辛かっただろうと、店のマスター達に言われると
「死ぬかと思いました」と弥生は苦しかった時のことを思うと、
やっぱり健康がいいと いつもより張り切ってる様子が伺えた。

クリスマスの時に渡そうと思ってプレゼントを用意してた男達は、
香月姉妹が店に来るや否やまちまちに、支払いでレジに行った時に手渡したり、
注文の時に渡したりとその度に、2人はうれしそうにお礼を言っては受け取っていた。

「まあ!、判らんでもないがな。」マスターは、頭をかしげながら「2人は、どうなんだ?」と尋ねた。
「どうって?」2人は、ほぼ同時に返した。

「お気に入りさんでもいるのかってことよ?」と、ぶっきらぼうに言った。
「判んない?」と、かすみが言うと弥生は「いい人がいればいいけどね」と高熱から覚めた死ぬ思いが、
人恋しくさせていたのか何処か淋しさが見えた。

明日は大晦日なので、早い時間に閉めるぞ!帰り支度の2人は、
ハイ!とまた2人同時に返事をして帰ろうとしたところに大きな包みを持った男と、
その連れの者がレジに行った。

弥生に、ズット視線を送ってた男達は2人が帰るタイミングを見ていたのだろう。
弥生は、レジに立つと、その手にした包みを渡しながら何か話してた。

マスターとかすみには聞こえなかったが、そのお客が帰って行くと弥生は、
かすみを手招きで呼んで帰ろう!と言って2人は、マスターに頭を下げると店を出て行った。

店から家までは10分と掛からない距離をいつも2人揃って歩きながら帰っていった。

「皆、優しいね今日も、お姉ちゃんそんな大きなもの貰っていいなぁー」と、
本当に羨ましそうに言ったのを、どうして受け取ってしまったんだろう?
と弥生は、胸の内で悩んでいた。

「どうしたの?」何も言わない姉が気になった。
そのまま、弥生は、一言も話さないまま2人は家に入っていった。