香月姉妹は、昼から喫茶ナイトに来ていた。
さすがに人はまばらで暇な時間に、お雑煮の作り方を店のママから教えてもらっていた。
明日、両親に作ってあげるときっと喜ばれるわね。
と、特に弥生に念入りに教えた。
かすみは、覗き込みながらも「うん、うん」と聞いていたが、本当に判っているのかは知れたところでなかった。
カラン、カランと店の扉がお客様が来たよ!と、知らせた。
姉妹の手が離せない様子を見ると、ママが店に出て行った。
「弥生ちゃん、いつもの男の人達が来たよ!」と、ママが弥生の耳元で告げた。
「いつもの!」弥生は、それだけでは誰なのか判る筈もなかった。
かすみが、カウンター越しに店の中を見ると、坊主頭で顎髭の男と、細目で色黒の男が居た。
大きなプレゼントをくれたいつもの人だ、かすみは、進んでそのテーブルに注文の飲み物を運んだ。
「今日は、お姉さんいないの?」坊主頭の男が尋ねると「今、中で料理習ってるのよ」と、
厨房の方を見ながら答え、軽く会釈をすると奥へと入っていった。
「お姉ちゃんは居ないのかって、聞かれた」とかすみも弥生に小さく伝えた。
「あっ、つーい」何を動揺したのか持っていた小皿に、作った汁を入れすぎて落としてしまった。
物が割れる音は、店内に響き坊主頭の男は身を乗り出して中を覗き込み、
弥生と目が合い手招きをして呼んでたのだ。