風と香りの中で 27

理沙は、クリスマスの日から友達の家に暫く寄せてもらい、
大晦日には帰ると母親に連絡をして6日振りに帰る電車の中で、
いつも見ている景色が何処か違って見えていた。

それが何なのかは判らず、6歳も年の離れた澄江から教えられたことは、
理沙は全てが始めてのことだった、クリスマスが過ぎたケーキにはなりたくないと、
何故か笑えた。

そんな澄江が、時々淋しく見えたり、パーティーには彼氏に誘われていたが、
その前に別れたから暇なんで1人で来たとか・・・。
時々何処からか来る電話では、真剣な眼差しと凄く丁寧な言葉遣いが、理沙は驚かされた。

その度に「しょうもない男や・・・。」と、呟くとベットに伏せこんでしまう様子も、
どこか切なさが伝わってきた。
だからなのか澄江が理沙に髪を染めてみるか、化粧の仕方を教えようかと言われるがままに澄江に従った、
その時の澄江のうれしそうな顔が、理沙の胸に焼き付いていたのだった。

「りさやん、明日帰ったほうがええな、1度帰って又何時でも来いや」
理沙は、母親と弟と妹の4人暮らしで父親は、
中学の時に居なくなり、如何してなのか子供ながらに判っていた。

毎年、弟達の面倒を見て大晦日から、家族4人で三が日迄過ごしていた。
家族を省みない父親は、時々大声で母親を怒鳴ったりしていた。

あれから数年家族はそれなりに楽しく過ごしていた。
「ただいま!」と入って行くと、弟が急いで出てきて「誰か、来たよーママー!」と、
弟の鉄治は母親を呼んで、玄関に立っている女性、いや姉の理沙を、まじまじ見つめ、
「あっ!お姉ちゃん?」と首をかしげた。

出てきた母親と妹の楓は初め誰か判らず、「理沙!」と驚き「何それは?」と声が少し上づっていた。
「エヘへ。」と照れ笑いしながら、中に入っていくと、家族の皆は呆然としていた。