どんよりと曇った空は、今にも雨を降らせそうな寒い日だ。
夜半から雨になると天気予報は告げている、年が明けて既に2週間が過ぎている。
明日は多くの人が成人を迎えるが、弥生たちにはまだ先の話だった。
理沙は、時間通りに香月姉妹と合流して、
しつこく弥生に誘いを掛ける坊主頭の顎鬚男と目が狐の様に細く浅黒い顔の男を待っていた。
1度出掛ければ、もうしつこくは誘い掛けないだろうと大誤算のデートを受けてしまった。
時間通り白いセダンに乗った2人の車が到着した。
運転席から坊主頭の男が降りてくると、多分今までの最高の笑顔で弥生の所までやってきておはよう、
と挨拶をして妹のかすみと、飛び入りで来た理沙にも同じように挨拶をした。
3人も同じように挨拶を返すと、狐目の男が弥生に助手席に乗るように進めたが、3人は後ろで言いと難なく後ろに乗り込んだ。
坊主頭の男は残念そうな表情で運転席に乗って「取り合えずドライブに行こう!」と、弥生を見た。
「何処まで?」弥生が尋ねると、狐目の男が「富士山まで行こうか」と言った。
「遠くない?」弥生は心配そうに尋ねたが、高校生の行動範囲にすれば遠いだろうが、
車だとひと回りしても夕方には戻ってこれるからと、坊主頭の男が小さな声で呟いた。
「夕方には帰ってこれるのよね?」
理沙は、何か探るように言うと狐目の男が苦笑いしながら振る向き
「大丈夫だよ、そんなに遠くもないだろうしな」とそっけなく言った。
2人の男は理沙が来たことは、計算違いだったのだ。
2対2なら、恋人同士気取りで親密に慣れると思ってもいた。
が、それは高校生だろうとそんなに甘くはなかった。
もっとも、それがお気に入りの相手なら話は違っただろうに、
だからこそ坊主頭の男も、狐目の男も1回のデートで弥生とかすみを
彼女としての交際を決めなくてはいけないと思っていたのだろう。