風と香りの中で 51

生憎の雨が、実は弥生にとってってはとても都合が良かった、
今日、出掛けることで一旦は、弥生なりの義理が果たせるのかなと思っていた。

普通の女性なら嫌な相手となら、どれだけ誘われても断れば其れで済むはずか、
相手が諦めるかで、その出会いは唯の通りすがりの赤の他人になって行くのが普通なのだが、
「彼氏いるの?」って聞かれた時に、「いないですよ」って答えてから、
その坊主頭の男は店に来るたびいろいろ聞いてきたのだ。

ついには妹のかすみのことまで聞き出すと、
狐目の男が妹に話しかけるようになったのだが、
なんせまだ高校1年の妹は、何でも答えた。
何も考えずに・・・。
その結果が、気乗りのしないドライブになってしまった。

が、理沙が一緒に来てくれたことは、大きな救いになっていた。
髪は染めたままで薄っすらと化粧をしていた理沙は、
弥生と同年代にはみえなかった。

狐目の男は、理沙を見た時から気に入ってしまった。
その質問攻めに、少しうんざりしていた。
話が途切れた時、弥生は冬休みの間に何があったのかズット気になってたことを聞いた。

理沙は、小さな声で大まかな事を話すと「ごめんね!」と呟いた。
前にいる、男たちにはハッキリとは聞こえなかったが、智彦と男の名前が出ると、
狐目の男がそれに反応したのか「そいつは彼氏なんか」と、
後ろを振り返り尋ね理沙の返事が気になった。

「どうだろう?」理沙は、無意識なのかこの場では、違うよなんて言わない方が言いと判断したのか
曖昧に答えると「何だよ、もったいぶるなよな!どうせ、同級生の男友達みたいなもんだろうに・・・。つまんないだろう!」

男の口調は、理沙をイラつかせた。
「おい!何言ってんだ!」と、坊主頭の男は、狐目の男にきつく言った。

ちょうどサービスエリアが見えて来たので、車はそのまま入って行った。

「ちょっと、休憩しよう!」と坊主頭の男は、車を止めると、弥生たち3人は、出て行った。

「何か、感じ悪いねあの目の細い人・・・。」理沙が言うと
「りささんが、男の人の名前を出したからじゃない?」と、
かすみは、見慣れない窓の外を見ていても飽きないくらい、遠くまで車で来たこともなかったのが、
尚更独り楽しんでたが、皆のやり取りは、ちゃんと聞いていたのだ。

「ごめんね!誘っちゃって」弥生は、理沙に言った
「友達だもの、やよが困ってる時は協力するよ、だから私に声を掛けてくれたんでしょ」と理沙は、弥生の肩を軽く叩いた。

「それにしてもなー?」と沢山の車が並んでるっ駐車場の方を見ながら呟いた。

「おい!もう少しやさしく接しろよ」と坊主頭の男は、
狐目の男に言うと「ついついよ、男の名前が出てきたんでよ・・・。」
狐目の男は少し気が短いところがあったようだが、
「頼むぞ、そんなに誘いに乗って来そうもないから、少しのチャンスでも大事なんだからな」
「ああ!」「あの、理沙って女は気が強そうだから辞めといた方がいいかも、妹でいいだろに」

「ああ!」今日は、計画は無理かも知れないが、次に繋げる為にも、紳士的にいかないとな。」
「ああ!」「知ってんだろ、集会に行った時のあのデブ野朗がいい女連れてたの、どうしてか知ってるか」
「知らねーよ」「まあいいや、でもな女性は変わるもんだって事をな」
坊主頭の男は女性に対して何か変な思い込みがあったようだった。

2人は、そんなやり取りを煙草を吸いながら話して車に戻ると、
何か買ってくるよと皆に聞いて独り行ってしまった。

「さっきは、どーも口調がきつくなっちゃって」と理沙達を見ながら誤った。
弥生と理沙は、噴出しそうになったのをこらえた。

坊主頭は、沢山の買い物をして戻ってきた。
理沙がいなかったら、ここは弥生と一緒に買いに行き、良い雰囲気を作る予定だったが、仕方なかった。

車は、本線へとスムーズに入って目的地に向かった。
明日の成人式を気にする事もなく・・・。