久しぶりに、喫茶ナイトには弥生があくせくと働いていた。
別にお金に困ってる訳でもなく母親の知り合いであるママさんに頼まれて、
2人で来るようになって2年近く、時間の許される時にだけ来てた。
続けてくることもあったが、どちらか1人で来るとかは殆どなかったが、
この日は妹のかすみがテストの為に、弥生はある期待をして1人で来ていた。
思った通り遅い時間になると客足も増えて顔なじみの客は、
それぞれに「久しぶりだねー!」と注文を取りに行く度に声を掛けられていた。
中には「デートで忙しいよな!」と、弥生に彼氏が居るかなどと、はっきりと聞けない男は、
そー言って弥生のどちらかの答えを聞きだそうとしていたのだ。
「やよいちゃん疲れただろう、少し休むといい何か飲むか!」とマスターが奥さんに、
店の方を見てよと手振りで指示していた。
「あいよ!」と、今来た客に注文を取りに行き、
弥生は奥の座敷部屋に入るとテレビを点け、作って貰ったミルクティーを飲みながら寛いだ。
今日は1人だからあと少ししたら帰ろうと思い、
それをそのままマスターに伝え暫く点けたテレビを見るともなくぼんやりしてた。
その後、来る客も少なくなるのを確認すると、弥生は帰り支度を始めた。
カラン・カラン21時過ぎ入ってきた2人組みの男は、
坊主頭で顎髭の男といつもの狐目の男だった。
弥生は、一瞬何かに期待したが、2人組みの男を見て小さくため息を付いた。
あーあ!来ちゃった、少し遅かったなと残念がったが、
既に帰る準備は出来てたので注文も取らずに、
店の真ん中を通り出て行く途中に、当然、坊主頭の男は
「久しぶりだな、こないだはどうも、楽しかったよ!」と、
周りに居る男たちに聞こえるように、馴れ馴れしく声を掛けると、
もちろん男たちの中には何だ!えっ!まさかな!と驚いていた者も居た。
それが狙いで声を掛けたのは坊主頭の男にとっていいタイミングになってしまった。
「今度、いつ行こう!」続けていった言葉に弥生は、返す言葉が見つからなかった。
何よ、もー!「はっきり言った方がいいよ!」理沙の声が聞こえた気がしたが、
「もう帰りますから、またね!」と店を出て行った。
もちろん坊主頭の男は、いつも2人で帰る弥生だが、
どうやら今日は1人だと気づきこんなチャンスはないと、
弥生の後を追っていった。
足早で歩いたが、男も必死だから走って弥生に追いついた。
「そんなに、急がなくたって・・・。」
後ろから声を掛けられて、うそ!付いてきた!
弥生は慌てたが男は、既に隣に居て
「久しぶりなんだから、少し話くらいいいだろ」と、
弥生の歩いてるのを止めた。
「帰らないと!」それが精一杯だった。
弥生万事窮す!
「またな、今度出掛けないかと、その約束で毎日のように来てたが、やよい、いないからよー!」
仮にも呼び捨てにするほど仲も言い訳でもなく弥生の前に立った男は、
ニヤニヤと見つめて返事を待ちながら、弥生の手を取ろうとした。