理沙は、遅くにしか帰ってこない母親の変わりに弟たちの夕ご飯を作っていた。
鉄次も楓も手伝い3人でたまにこうして母親の力になりながら
父親が居なくても過ごして行く事を、気にもしなくなったのだ。
楓は、父親が帰ってこないのを何度も理沙に尋ねてたが決まって
「遠くまだお仕事に行ってるから」と言い聞かせ、まだ、小学3年だが良く手伝いをしてた。
父親が出てった事情は理沙は、知っていた。
でも、時々、暴力を振るう父親をいなくなればいいとさえ思っていたので、
特に寂しいとか思うこともなく自分は、そうゆう人とは結婚なんかしないと、強く決めていた。
が、そうでない相手を見つけることも難しいことは知らなかった。
付き合ってる間はやさしくても、一緒になったとたん暴力を振るうようになる男性も少なくない、
見極めはやっぱり交際してる間しかないのが、やっぱり男と女の不可解な関係なのだろう。
もっともそれは、暴力だけではないだろう。
「お姉ちゃん、今度ね学校にね・・・。」言いかけた言葉を辞めた鉄次に理沙が、
どうしたのかと尋ねると、
「お母さん学校にこれる?」と遠慮気味に言った。
「お母さん忙しいから・・・。お姉ちゃんが行こうか?」
「えっ!ほんと!」鉄次は、母親に言えない子供心に理沙は、
直ぐに鉄次の気持ちが判った。
「やったー!」とその純粋な瞳で心から喜び、
夕食の準備に力が入ったのか、もって行くものを走りながら運んでいた。
「お兄ちゃん、危なーい!」と楓もゆっくりと落とさないように運んでる横をすり抜けたりして、
その喜び方はまさに子供そのままだった。
理沙は、この弟達の為にも卒業したら働くことに決めていたのだった。
「ごめんよ!」と言われた母親に「私は、もう勉強はしたくないし」それは、本音でもあった。
「お母さん、まだかな?」準備が出来た楓は、早々とテーブルに着いていたが、
鉄次は、テレビの前に座って「もう直ぐだよね」とテレビを見つめながら答えた。
暫くすると寒い外から帰ってきた母親が、帰ってくると皆が玄関まで行って迎えた。
「ただいま!」といつもうれしそうに、入ってくる母親を鉄次と楓は「おかえりー!」と大きな声で迎えた。