師走も中旬になり、この日は、朝の早い時間から雪が降り辺り一面薄っすらと白く染まっていた。
北の国の方では、1センチから5センチの雪が積もっていると何処の天気予報も言っている。
日本の西側はこの冬初めての雪だった。
どんよりとした空は、灰色雲がどっしりと、まだ降らすよっと言わんばかりに広がっていた。
動き始めた電車の中は、暖かくもなく肩を竦めながら乗っている人も居る中で、
1人、上機嫌の女性が寒さも忘れ話してる。
「絶対だよ!絶対、やよには言わないでよ!」理沙は、真理子に口止めしながら智彦と、
出掛けてた事をうれしそうに話したが、真理子は、あまり聞きたそうでもなかった。
「で、付き合うとか、そんな話にでもなったわけ?」めんどくさそうに聞いた。
「そうねー?たぶん、これからそーなって行くのかなぁー・・・。」と、
にこにこしながら、目だけが上を向いて何かを思っている風だった。
「あっ!また降って来た。」窓の外を見ながら、
それにしてもやよは、どうしたんだろうと真理子は心配した。
いつも乗るこの電車が来る時間にホームにも居なく乗るまでホームを見渡していたが、
結局現れなかった。
結果、理沙と2人になって朝から、理沙のお惚気交じりの話を聞かされていた、
2人は仲が悪いわけでもないが、聞きたくもない話しだってあったのだ。
其の頃、弥生は父親の車の中で学校に向かっていた。
「雪かぁー、クリスマスに降ればいいのになぁー、結構ムードでるよねぇー」
理沙は、外を見ながら誰に言うともなく呟いた。
「まりさぁー、クリスマスどうするの?」
「何が?」真理子は、毎年決まって店の手伝いがあった。
両親が営んでる食堂は日本の行事こそ忙しかく真理子は、
そんなときこそ進んで手伝いに入っていた。
春になれば、試験と卒業、試験に受かれば家を出て遠く離れた街で、
1人暮らしと決めていたその大半を親から出してもらうので、
真理子は少しでも協力をしていた。
だから、彼氏とか、ボーイフレンドとかは必要なかった。
「私は、店の手伝いだから、今の私にはそーゆうのいらないわよ!」
理沙とは違うんだからと言わんばかりの口調は、真理子の芯の強さだったのかもしれない。
「智君に、パーティ誘われてんだよ」理沙は、この一言が最終的には言いたかった様子が、
そのうれしさが隠せないくらいの笑顔だった。
「良かったね。」無愛想でもない、特に良かったね理沙と、
そんな気持ちでもない返答は扉が開いたと同時に流れ込んできた風に、流され言った。
足元から、流されてきた冷たい風が電車の中を、また凍えさす、
2人はホームに降り、薄っすらと積もっている雪の所処の足跡が余計に滑りやすく2人は、
ゆっくり下を向いて歩きながら「まり!、やよには内緒にしててよ!パーティーのことも・・・。」
「・・・・・。」何も言わない真理子にも気にしない理沙は、降っている雪を見て、
手の平を広げ受け止めようと、無邪気に喜んで「初雪なんだねぇ」と、真理子を見た。
真理子は、そんな理沙を時々羨ましく思った。