風と香りの中で 13

数日前に降った雪は、既に解けて所々濡れたままのアスファルト、
日陰に寄せられた残雪は、排気ガスのすすだろう黒い斑点がのっている。

まさに、冬独特の風景だった。クリスマスの今日、雪は降ることもなく、多くの人達は残念に思ったことだろう。

星一は、可奈との待ち合わせの為、駅へと向かう国道を走りながら、母親に頼まれた買い物を、整理していた。
駅に近付くにつれ車の走りは遅くなって行きとうとう止められてしまった。

動かない車の中で間に合わないか。と 可奈の顔が浮かんだ、
あっ!と思わず忘れてた事を思い出したのだ。

そうかー、忘れてた!プレゼント買ってないや、どうする と自分に尋ねた。

すかさず辺りを見渡したが、そんなに上手いこと、それにあった店なんかあるはずもない、
別に可奈に喜んでもらおうとか、そんなんでもなかったが、星一自身 子供の時ずっと昔の子供の時以来、
クリスマスにプレゼントなんて貰った事も、渡したこともなかった。

でも今年は、可奈と言う女性が居た。渡さないわけにはいかないだろうなぁー。
考えてるうちに、車は動き出しては、止まるの繰り返しでやっと駅近くのパーキングに着いたのは、
約束の時間から30分も遅れていた。

駅の方に行くには少し歩かないといけない、雑踏の中足早な星一の目に1軒の店が飛び込んできた。
何でも有りそうな雑貨屋星一は、時計を見たが遅れたついでだと、店に入っていった。

やはり中には大勢の人が居て思うように見つけられない、
何だよ、時間がないのにと店内をきょろきょろと、すばやく見ながら探した。奥に入るとあるペンダントが目に付いた。
雪の結晶の形をしたペンダントだった。

即決め、即買い、星一は、迷うのが好きでなかった。迷ってしまったらきっと買うこともなく店を出てしまう。
そんな傾向が自分にあることを知っていた。

そして、もうぎりぎりだろう時間になっていた、自分なら1時間は待てない、だが、もう1時間も過ぎようとしていた。
居ないかも知れないなと、約束の場所に近づくにつれて、ゆっくり歩き始めた。可奈を探すためだ。

人並みを覗き込むように、その先を見てほっとした可奈は、そこにじっと立っていた。
時折辺りを探すように見ながら待っていたのだ。こんな時、何て言えば良いんだ。

そうだ!名案!自身で納得しながら可奈に会うとすぐに、
深々と頭を下げて誤ると「タイヤがなー!車のタイヤがパンクしてなー・・・。」
「うん!」可奈は、うれしそうに星一を見ると
「待つこと慣れてるから、子供のころから、それに家に電話したのよ、お母さんが出て・・・、パンクって嘘でしょー」
疑いの目をしてなをうれしそうに言った。

「ああ!ごめん!出るのが遅かったからな。まさかの渋滞だし・・・。」
申し訳なさそうに言ったのを、「そうゆうのいらないよ!」「そうゆうのって?」星一は聞き返した。

「いい訳よ、いい訳とかいらないよ、こうして小早川さんがここに居るから、
私は会った時間が、待ち合わせた時間だもの」
「ん!」知り合って間もない可奈のことは星一自身、知る由もなかった。

何か、胸に刺さったその言葉が・・・。
やがて辛い思いをすることを星一は、気付かなかった。