風と香りの中で 58

寒い公園には、人もまばらで時々犬を連れた散歩だろう人が、
犬に合わせてゆっくりと歩いてる人が居る中で、3人は妙にしんみりと話し込んでいた。

「どうしたらいいんだろう」弥生は、悩んでいた。
「だから、誘われたってハッキリ断ればいいのよ!」と理沙は、あの男たちならしつこく付きまといそうだよな。
と、だからこそはっきりした意思表示をしないといけないんだろうなと思った。

「それが、やっぱり出来ないのよ」深刻な、顔をしてる弥生は、今にも泣き出しそうだった。
「いいことがあるよ、彼氏を作る事よ、いい人居ないの、やよ!」真理子は、良い案だと自分でも納得した。

「そんな簡単に・・・」と言い掛けたところで、
忘れかけていた思いが湧き上がってきた
「居るにはいるんだけど、最近は、お店にもこないし、きっと彼女さん居ると思うんだよね」
「何それ、初耳だよ!」2人は、弥生の中に新しい候補がいる事など知らなかった事に、唖然とした。

「どんな人なの?」
「話した事もないんだけど、やさしく面白そうな人なんだよね。初めて見たとき、私・・・」
「何で、話しもした事もないのに判るのよ、いつから、やよ、
何にも教えてくれないんだもの、そうゆう人がいるなら、
尚更、あの男たちと出掛けるのは良くないんじゃない。」
理沙は、突然のやよの告白に驚きながらも、早く何かしないといけない気がした。

「やよ、今度さ、私が知り合ったお姉さんに会いに行こう。きっと、為になる話してくれるよ」
「りさが、言ってた女の人?」と真理子が、尋ねた。

「そうよ!」理沙は、澄江の事を心から慕っていた。
やっぱり自分たちより人生の先輩だから、何かいい回避方法を知っているだろうと弥生を合わせることにした。

「わたしも、行くわ!いい?」「皆で行こうよ」と理沙がうれしそうに言ったのを
「迷惑じゃないかしら」と弥生は、自分の為に皆に時間をとらせる事が、申し訳なく思った。
が、今は、誰かに頼らなければ自分の意思じゃない自分が他者によって流されていきそうなのを止めて欲しかった。

「りさ、合わせてくれる?」
「そうね!きっと澄江姉さんなら、良い話してくれるよ。早い方がいいよね!」
3人は、高校生活も後わずかとなった。

冬の日の午後、こうして3人が、この公園で話す事の終わりが来ている事を感じながら、
時と共に成長して行く自分達を見つめていてくれた。

息付く全ての物で何時か公園の中で感じた風と香りを、振り返る時があるだろう、
弥生は、ベンチから立ち上がり歩き始めると、理沙と真理子も歩き始め公園を後にした。