喫茶ナイトに行く事になったのだ。
「おいおい!ちょっと待てよ、まだ今は・・・。」
球のはじける音が、ところどころで響きわたり星一達も、
順番に球を落としこんでいた「せいちゃん、手紙出したのか?」弘幸は、順番待ちの最中に星一に尋ねた。
「ああ!何か嫌なもんだよ。」星一は、キューを吹きながら答えると
「別れたんですか?」と大森が、打ち損ねた球を見ながら言った。
「多分、可奈も判ってくれるよ、自分たちにはまだ、沢山の思い出もなかったし、
引きずるものもないから良かったのかも・・・。」
星一は、一点の的を身を乗り出し見つめながら言うと
「でも、その人の気持ちは、ちゃんと話したの?」
晴香が、同姓として納得できない部分があったのか星一に、尋ね
「何故、付き合ったの?」と続けた晴香を見たとき、
狙ったはずの的は、見事に空振りになってしまった。
「あ!」と星一は、ミスした事に慌てた。
「はるちゃん、変な事言うから・・・。」と、
はずしたことを晴香のせいだぞと言わんばかりに「集中してたのに!」と、
晴香を見て「付き合うって決めたのは、別に好きな相手もいなかったし彼女も居なかったから、
だから紹介してくれて良さそうな女性だったから・・・。だけど、運命の悪戯だよどっちも・・・。」
「何それ、ひろから聞いては居るけど、たった1・2回あっただけの女性でしょ、
何も知らないんでしょ、その人のこと。」
と珍しく晴香が興奮していた。
「どうしたんだよ、はるちゃん、じゃあ何かい自分が別れた事は、悪なのか?」星一も、少し熱くなってきた。
「そうじゃないけど、きっと可奈って人はせいちゃんの事を真剣に考えていたと思うのね、
だから、せいちゃんの家にも来て、両親に会ったんでしょ、
だから・・・同じ女性として、なんだか寂しいなぁ」
晴香は、そう言って思いっきり球を突いた、飛ばされた球は見事に当たると、
心地よい音と共に穴の中に滑りこんで落ちたのだった。
「先輩、そんな相手がいたんですか、何も教えてくれないんですよね」
大森は、自分に聞かされていない話が水臭いなと思いながらも、真理子のあの時の言葉が妙に切なかった。
「それで、どうするの?その女性には気持ちを伝えるんでしょ?」
晴香が言うと「当然だよな、可奈さんの為にも、そうしないと別れた意味がなくなるぞ!」弘幸が続けた。
「そうだよな・・・。」星一は、確かにそうだと思ったが迷いはあった。
「ひろちゃん達みたいに、お互いが自然といなくてはいけない存在になれればなー」
と星一は、安易に言ったのを「そうでもないけど、気が付いたら一緒になる事になってたのは事実だけどな」
弘幸が言うのを「毎日、電話して来てね好きだよって言うしね・・・。ひろ優しいしね!」
おいおい、お惚気かと思いながら「2人は、お似合いだから、早くに一緒になるのも有りだよな」
星一は、特に羨ましいとも思ってはいなかった。
「じゃあ、せいちゃんの告白を楽しみに、今からその女性に会いに行こう。」
と弘幸が、提案したのを晴香も大森も賛成で星一は、慌てた。
「そんなこと、言ってる内に他の男に決められちゃうよ」と、晴香も弘幸も同じ事を言った。
「でも、既に彼氏とか居たらどうすんだよ。」星一は、不安な気持ちで声を小さく呟いた。
「居たら、諦めるんですか?」大森は、自分に問いかけてた同じ事を星一に、尋ねた。
「判る分けない、今は、そこまで考えていないからな、その時に考える!」
確かに、例え一目惚れしたとしてもそれは、一方通行になる可能性が高い、それは仕方ないのかもしれない、
それはその人と縁がないからだろう。
それしかない、運命が決められてるとしたらその人とは出会っても居ない、そう思いたいと星一は、
店を出て空を見上げたが辺りが明るすぎて星を見る事は、出来なかった。
ただ、冷たい風がゆっくりと頬をなぜていった。