あなたに出会い、あなたを知ってから
わたしは、優しくなれた
限りない、笑顔に癒されて
そっと、わたしは、腕を組む
微かに聞こえる鼓動が
愛の証と、静かに囁く
何処まで行こうか?
風だけが、見ているビルの谷間で
あなたは、何も言わずにくちづけをする
二人だけの世界で、私等は幸せだよね
君がなくなる
消えていく、あなたの現像も
過ごした時の面影も
交わした言葉すら、もう聞こえない
激しく高鳴る鼓動も
記憶の中から
全てが消えて行く
疲れた群衆の中
あなたは、どこで眠り目覚める
幸せで始まった愛は、思い違い
始めの優しさに、嵌って行く
うわべの言葉に酔いしれ
重なる肉体には、心無くても
愛の錯覚に上気する
いつだって、哀しみは女性に残り
時が過ぎて行く度に
真実が見えても
後悔したくないと、しがみ付く
前に進むのが怖いから、留まり
そこに幸福が無いことに気付いた時は
私が私でなくなっている。
明日
人の心は、温かい些細なことが
生きるすべになる。
利益ばかりで、利用する輩の悲しい心は、きっと寂しい
私等は、見えない風に守られ、
掴んだ愛に歓喜する。
ねぇ!あなたに尋ねる
心から微笑んでいるか
だって、幸せは自分の中にあるんだよね
辛い事だって、きっと幸せの数倍あるんだね、
だから、些細な事だってうれしいんだよ
生きていこう、未来(あした)の自分の為
涙、枯れるくらい、悲しくたって・・・。
明日は、きっと晴れるから
風と香りの中で 6
11月中旬は、冬間近なのか、もう冬なのか微妙な時期で夜は既に、
寒く時折強く吹く風は冷たい、思わず体をすくめてしまう。
「今から行くよ、大丈夫!今日の報告な!そう、そう先輩に紹介してもらうって言ってた。
その女性に会ってきたから、迎えに行くよ。じゃあ、後で」と、星一は電話を切った。
日付が変わる少し前、上機嫌の星一は車を運転しながら今日の出来事を、弘幸に話し続けていた。
暫く、走っていると一軒だけ明かりが点いている建物を二人同時に、見つけた。
「喫茶店か?」星一が言うと「そうみたいだ。遅くまでやってんだな!」と、弘幸が答える。
「そこでいいや、なあ!」と星一は、既に車を止める場所を探してた。
「そうしよう、こんな時間じゃ此の辺りにはないかもな」
弘幸は過ごしていく店の中を見つめたが、よく見えなかった。
その店から、そう遠くない路上に場所を見つけると、車を止めて降りて
足早に向かった。吹く風の冷たさが身に沁みる程、車中は暖かかった。
「よく通る道だが、気付かなかったよな、こんなとこに喫茶店があったなんて」
弘幸は、今まで気付かなかったことに少し悔しさがあったような言い方をした。
「何時迄、やてんのかな?」星一は、そー言ってドアを開けた。
カラン、カランと客が来たよと、扉が知らせた。
中に入ると、はぼ満員状態に、二人は驚いた。
外からは分からない中の様子は、まさかの大繁盛「なんだ・・・」と弘幸
「おお!」と星一、二人は顔を見合わせた。
奥に、空いたテーブルを見つけると、二人は辺りを見渡すように席に着いた。
日曜の深夜に、二人はちょっとした事件になっていた。
「ひろちゃん、コーヒーでいいや頼んでおいて」そー言ってトイレに向かった。
星一は、戻ってくるなり「どうしようかな?やっぱり・・・。」
「看護婦見習いだっけ、きっとやさしいと思うよ。」
弘幸は、職業でのイメージでそう思ったのか普通は、そんなものかもしれない。
「せいちゃんが、いいと思えばいいだろうし、まあ、一度付き合っても
いいんじゃないか!」「そうだな・・・。」と言い掛けた所に、
チャリン、チャリンと金属音が近くで聞こえた。
ウエイトレスのその女性は、慌てて落ちたスプーンを拾い上げた。
星一は、その女性を見た瞬間、全身に生まれて初めて感じるその感覚が何であるのか判らずも、
全てが真っ白になってしまった。
ウエイトレスの顔から、すぐさま目をはずすと「別の持ってくるね」とウエイトレスは、
何時ものことのように告げた声に「いいや、別に・・・。」
そー言ってコーヒーを手元に持ってくると、何も入れずに一口飲んだ。
「せいちゃん、甘党じゃなかったけ?」と弘幸は、星一に言った。
大丈夫、今日から、ブラックと言って、熱かったコーヒーを何度も飲んだ。
ウエイトレスは、その様子を見て小さく微笑んで行ってしまった。
二人は、一時間近く居て途中、ウエイトレスの女性は帰っていった。
星一は、その時間を無意識なのか、チェックした。そして二人は店を出た。
「判った、あの店の繁盛ぶり!」星一が、前方を見つめながら言うと
「ウエイトレスの女性!」と弘幸が、すかさず答えた。
せいちゃんと弘幸が声を掛けると・・・。
「付き合ってみるよ、看護婦見習いさんと」何故か、うれしい話だったはずなのにあの時の、
あの一瞬、あの感覚、星一は、弘幸と別れ駐車場から、家に入るまでの間、
寒い夜の空に輝く多くの星を暫く眺め、眠れない朝を迎えることとなった。
風と香りの中で 5
夏が過ぎ、日々過ごし易い時は、
やがて来る冬に備え辺りの木々も紅葉からやがて散って行く、
枯れ葉となる季節に風は穏やかで、
空はまさに秋晴れと言えるくらい青く雲ひとつない、
見る者全ての人々に安心感さえ与えていた。
そんな日の公園のベンチで、弥生は質問攻めに合っていた
「だからさぁー、何で別れちゃったのさぁ。」
理沙は、半ばうれしそうに尋ねた。
「判らない。ただ何となく合わないなっと、一年たってそう思ったのよ。」
弥生が俯きながらそう答えると、
「正式に別れたの?」
と覗き込んでやっぱり少しうれしそに理沙は尋ねる。
「また、寄りを戻すとか、暫く、距離を置くとか、
そんな約束なんて、まさか してないよねぇー。」
理沙は、予かならぬ返答がないようにと、弥生の隣に座った。
「もう、やめなよ!」と、反対側から真理子が制止した。
「私は、今はもう誰とも付き合わない、そう決めたんだから
智君とも、正式に別れたよ・・・・。これでいい!」と、
少し投げやりっぽく言って顔を上げた。
「何それ、これでいいって・・・。
なんかさぁー私がさぁーやよと智君が別れたらいいなぁなんて
思ってる見たいにさぁー人の不幸をさぁー そんなんじゃ ないからね。」
理沙は、少し強い口調で、自分の気持ちが気付かれないように言っては見たものの、
二人には理沙の気持ちが手に取るように判ったのがおかしかった、
特に真理子は、ムリと小さく呟やいたのだった。
遠くで、子供たちがボールで遊んでたのか、
弥生達の近くまで転がってきたのを、
小さな子がと取りに来ると、
遠くに見える相手に投げようとした。
遠くの向こうから、ムリ、、ムリ、お前にはムリだよー。
と叫んだのが、真理子は思わず、笑い出してしまった。
弥生と理沙は、真理子を不思議そうな顔をして見つめていた。
新たな風は、何処からともなく流れ何処までも行き止むこともなく、三人は歩き始めた。

風と香りの中で 4
「何で毎日会ってるのに、日記の交換なんかしてたの?」
アキは、自分の中で不思議に思えた。
しかし、今の通信技術の発達した時代とは違い
携帯とかスマホのメールで簡単には、伝えるとかの
手段がなかった。当然、アキには、その感覚が判る筈もなかった。
3月19日(火) 快晴 いい日
やよちゃん、最後の制服なんだよな。卒業おめでとう!
いつ見ても、可愛い制服姿も、今日で最後か・・・。
写真一枚くれるよな。絶対もらうからな。・・・。
長々と書いてある、その日のページは父の気持ちが伝わってきた。
「何書いてんだかぁ!」と呟きながら
アキは、自分の頬が赤くなっているのに気付くこともなく
既に、時は、西日がオレンジ色に変わり
やがて、日が暮れていく中で
何処からともなく、肌寒い風と、ほろ苦い若草の香りが
アキを取り巻いていた。
「処?、ここは?」と、目の前には、見覚えもない学校が、飛び込んできた。
辺りに高いビルもなく田んぼや畑、ところ処に民家と
アキには、まったく見覚えもなかった。
学校の門からは、何人もの人たちが手を振ったり
ハンカチのような物で、目元を拭いたりしながら出てきていた。
「えっ!まさか」
「えっ、うそ!」既に、状況を把握して来たのか、思わず空を見上げた。
微かに吹く風は、やはり肌寒く、心地いい香りがすり抜けた。
すると、大勢出てきた中に、見覚えのある女子学生を見つけると
その場に身を屈めた。
無意識に見つかってはいけないと思ったのか
アキは、そっと顔を上げて、その女子学生をじっと見つめた。
「間違いない、写真の中の母と同じだ!」
アキが母と一緒に見たアルバムは、アキが高校の卒業をした後だった。
「私に、そっくりね。」と、母がアキの卒業写真を見て
自分のアルバムを持ってきたのだった。
「ママだ!」アキは、立ち上がると何を思ったのか
その女性に向かって歩き始めた。
「ダメだ!」何処からともなく聞こえる声
アキは、「えっ!」と立ち止まり、振り返ったが誰もいない。
「誰?空耳?」アキは、向き直り再びゆっくり歩き始めると
「ダメだ!戻れ!それ以上は行ってはいけない!」と
ハッキリと聞こえた声は、父親の声に似ていた。
「パパ?」と、又立ち止まり辺りを、何度も見渡したが
誰もいなかった。
アキは、顔を、左に傾け不思議な感覚で
どうにも、高鳴る鼓動が抑えきれなくなってきていた。
「なんなの、ここは、私、どうしたんだろう。どこどこ?どこなのー」
アキは、自分の体や顔に触れて「うそでしょ!」感触がない。
既に、大勢のその集団が、アキのすぐ近くまで来ていた。
「戻りなさい!」その声は、アキ自身の心の奥から聞こえてきていた。
「お母さん!」いつもなら「ママ!」と言っていたアキだったが
もう遅かった。目の前に学生時代の母が見えた。
が、相手からはアキは見えていなかったのだ。
すれ違い際、アキは、母の顔をハッキリと見ると、最高の笑顔で
見送った。その一瞬のこと。
辺りは真っ暗になり、深い闇の底へ堕ちて行く
寒く長い時、アキはそのまま身を任せ消えて行った。