風と香りの中で 3

3月10日 日曜日 晴れ

今日から、お互いのノートに、その時の気持ちとか、書いていこうね。
母の字だった。

長く続くように、いつまでも仲良くよろしくね。と、だけ書かれていた。
アキは、戸惑った「本当に、見てもいいんだろうか。」

両親の元で、生まれ育ててもらい、少なからず幸せを感じてる。

一度、ノートを閉じると、楽しかった子供の頃、3人で出かけた
初めての旅行の事を、思い浮かべた。

アキの、瞳から一筋の涙が流れた。
「読む、そう、読むって決めたんだから」

そう小さく呟いて、両手で顔を覆って溢れ出そうになった。
涙を、止めてからノートを、再び、開いた。

3月11日 月曜日 少し晴れ

書く事は、苦手なんだけど、頑張って書くよ。
でも、何を書けばいいんだ?と 父の字だった。

アキは、父の困った時の顔を浮かべたが
その時は、もっと若かったからアキが思ってる
表情とは、きっと違っていただろう。

暫くは、取りとめもないやり取りが、続いていた。

 

風と香りの中で 2

そこは父親の部屋で、アキは、殆ど立ち入った事のない部屋だった。

一度、部屋から出ると、キッチンに向かった。

冷蔵庫から、一本のミネラルウォーターを取り出した。

読むよ、と、決めた覚悟から、アキは、変に気合が入ってた。

部屋に戻ると、すわり心地が良く落ち着く場所に、位置を取ると
ゆっくりと、一冊のノートを手にして、座り込んだ。

誰もいない家は、静まり返って、アキは、早くに目が覚めた。

今日は、父親の部屋を、整理しようと
前々から思っていたが、やっと時間が取れたのだった。

手にした、ノートは何とも言いがたい古臭い香りが
時を越えて、アキは、今、立ち入ったらいけないだろう
扉を、開けた。

 

 

風と香りの中で  1

強い西日がレースのカーテンの隙間から差し込む、
部屋の中でどれだけの時が過ぎたのか。

只、夢中に古びたノートを読み続けてる。

アキは、時々「うそ」とか、「えっ!」などと
呟きながら身動きもしない。

一輪の花から

アキは、押入れの中から引きずり出した。
かび臭い箱を、そっと開けると中には、何冊ものノートが入っていた。

表紙には、可愛らしい文字で 、交換日記と、記されていた。
アキは、迷った。
父の物か、母の物なのか、それとも二人の物なのか
見てもいいのだろうか

「こーゆうのって、見ない方がいいんだよね」
アキは、自分に言い聞かせ、蓋を閉じた。が、気になって仕方がなかった。
暫く、自問自答して、結果は当然、おそらく幾人者人は、見てしまうだろう。
もちろん、アキは蓋を再び開けて、一番上の、一冊を手にして取った。

「すいません」両手に乗せた、日記帳に深く頭を下げて、近くにある父親の机に置いた。

 

迷い愛

何故だろう
朝の陽射しの中で
想い巡る
傍らで静かに眠るあなた
2人で居るのに寂しいのは
求める全てが愛なのか
快楽に落ちていく錯覚なのか
わたしは、そっとあなたの頬に触れる
目覚めると、あなたは小さく微笑み
「愛してるよ」と。
純粋までに真っ白なあなた
心が重なるほど
永遠に、私たちは幸せだろう

そう
わたしが、もっと強くなればね

明日は

伝わらない想いが
秋の空に舞い上がる
昨日までの笑顔が消えて行く
私は、長く続く公園の
古びたベンチでひとり
いつものように過ぎて行く
時の狭間で溜息をつく
あなたに判るか、本当の愛って
あなたに掴めるか、真実の愛を
楽しく過ごした旅行ですら
記憶の中で哀しみに変わる
明日、私は、街を出る
誰にも告げづに
今は、只、見慣れた木々を
ぼんやりと見ている
もうあなたは、現れないのに
それと判ってても
動く事すら出来ない
この街の、思い出を
全部、植え込み
明日、わたしは、ここにはいない

 

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