「風と香りの中で」カテゴリーアーカイブ

風と香りの中で 15

智彦は、いつもの仲間と友人の家に居た。
「だから僕は、あまり関わりたくないんだよ。」と、
智彦はパーティーに行かない言い訳をした。

「だからって、伊吹1人行かせたのか?」と仲間の1人が言うと、
「そんなつもりは・・・・でも大丈夫だよ。」と、
小さな声でいいつつ内心まづかったかなとの思いをしてた。

「大丈夫って、俺たちまだ高校生だぞ。」ともう1人の仲間が声を荒げた。
「りさは、智が一緒だと思ってんだろ?」と続けた。

「僕が、いなきゃ行かないよ、多分」智彦は、まさかそんな風に攻められると思っても居なかったので、
きっぱり言い切った。

「それじゃあ、智ちゃん遠藤って男に顔がたたないんじゃないの?」と智彦の考えが分からなかった。
「何、考えてんだお前さー、りさの性格ならお前が先に言ってると思って行くに決まってるだろ、
りさは、お前に気が有るのは知ってんだろ、弥生ちゃんと別れたお前が、
自分にもチャンスだと思うだろ、それで、先日一緒に出掛けて・・・。」

仲間の1人は、理沙に気があったのだ。
でも、理沙が、智彦の事を好きだって聞かされて・・・。
剥きになっていた彼は、「理沙をどうするつもりなんだよ!」と智彦に詰め寄った。

「遠藤さんが、人を集めてくれって・・・。」
俯いた智彦に、「じゃあ、一緒に行けばいいだろ、ひどいぞ・・・、それって!」と、
今にも喧嘩が始まる雰囲気になって来た。

智彦は、考えた。
以前、街で不良達に絡まれたところを、知り合いの先輩と一緒に居た遠藤に助けられ、
それ以来、時々声を掛けてもらったり、関わりも深くなっていた智彦は、
肩で風を切るように歩いたり、言葉使いも荒くなっていった。
もともとそんな性格でもなかったのだが、何か強いアイテムでも手に入れたかのように、
時々自分を強く見せるようにもなっていた。

弥生は、そんなところに気付いたのか、智彦が怖いと感じるようになって別れる決断をしたのだった。
弥生の決断は良かったのかもしれない。

智彦は、理沙をパーティーに行かせる事で遠藤に顔もたち、
さらに今後、自分は守られるとの思いがあったが、遠藤の事は苦手だったのだ。
「どうすんだ、場所を教えてくれよ!理沙を連れて帰ってくるよ」とその彼は、
智彦の顔を覗き込んだ。
智彦は、しばらく考えると、急いで部屋を出て行った。

風と香りの中で 14

弥生は、昨日より風邪をひいたらしく、40度近くの高熱にうなされていた。
病院から戻ると母親は慌しく凍り枕やタオルを数枚用意すると、
弥生を部屋に寝かせ、やっと眠りに付いていた。

時々、心配そうに妹のかすみは、部屋を覗いた。
高熱でうなされていたのか、夢でも見ているのか、寝ている表情が険しく聞き取れない言葉はろれつが回っていない、
そして、何か叫ぶと深い眠りに入っていったのか、穏やかな表情に戻り、寝息をたて始めた。

「大丈夫!」かすみが声をかけたが、弥生には聞こえない。
部屋を出ると、母親にお姉ちゃん寝たみたい、薬が効き始めたのかなぁと言って
「今日、私もバイト行かないー」「そうね」母親は、本当はバイトなんか行って貰いたくなかったのだが、
2人がどうしてもやりたいと、2人一緒ならと仕方なく受け入れたのだから、
2人がバイトに行かない事にはいつも、何も言わなかったのだ。

「今日は、お姉ちゃんの様子見ててあげてね」と、
でも、かすみは特に姉のそばにいてあげたいとか、
そんな強い気持ちがあったわけでもない。

香月家では、特に行事的な日でもなく父親は「キリストの信者でもないのにと・・・」口癖のように言うのには訳があった。
子供達に教えるべき事を教えていた。

やがて、時とともに日本全土で、クリスマスは祭りごとの1つとして街は、
電飾灯で飾られ見る者の気持ちに安らぎすらを与えていった。
たぶん、それは、クリスマスでなくてもいいのかもしれない。

2人が休む事で、喫茶ナイトも休業になっていた。
姉妹の為に用意していた、プレゼントを持ったいつもの客は、休みか!と残念そうに帰っていった。
が、プレゼントは、別の日に渡されるのだった。

何とか気を引こう思っているのか特別な日に渡すことで効果があると思っているのか、
何とも男は単純な生き物かもしれない。

かすみは、弥生の部屋でいつの間にか、眠ってしまっていた。
母親は起こすこともせづに、暖かい部屋に毛布1枚をかすみに掛けて、
弥生の具合を見ると出て行った。

理沙は、智彦に電話を何度してもでない。
呼び出し音だけが長く続き出る気配もなかった。
「なによ!」そお言いながらチケットを取り出すとパーティーの場所が簡単な地図で書かれていた。

「僕と会えなくても、先にいってる場合があるから、その時は後から来てな!」
「先にいってるのかなぁー」理沙は、辺りを見渡したが来る気配がない事を確信すると、
簡単な地図を頼りに歩き始めた。
     
     

風と香りの中で 13

数日前に降った雪は、既に解けて所々濡れたままのアスファルト、
日陰に寄せられた残雪は、排気ガスのすすだろう黒い斑点がのっている。

まさに、冬独特の風景だった。クリスマスの今日、雪は降ることもなく、多くの人達は残念に思ったことだろう。

星一は、可奈との待ち合わせの為、駅へと向かう国道を走りながら、母親に頼まれた買い物を、整理していた。
駅に近付くにつれ車の走りは遅くなって行きとうとう止められてしまった。

動かない車の中で間に合わないか。と 可奈の顔が浮かんだ、
あっ!と思わず忘れてた事を思い出したのだ。

そうかー、忘れてた!プレゼント買ってないや、どうする と自分に尋ねた。

すかさず辺りを見渡したが、そんなに上手いこと、それにあった店なんかあるはずもない、
別に可奈に喜んでもらおうとか、そんなんでもなかったが、星一自身 子供の時ずっと昔の子供の時以来、
クリスマスにプレゼントなんて貰った事も、渡したこともなかった。

でも今年は、可奈と言う女性が居た。渡さないわけにはいかないだろうなぁー。
考えてるうちに、車は動き出しては、止まるの繰り返しでやっと駅近くのパーキングに着いたのは、
約束の時間から30分も遅れていた。

駅の方に行くには少し歩かないといけない、雑踏の中足早な星一の目に1軒の店が飛び込んできた。
何でも有りそうな雑貨屋星一は、時計を見たが遅れたついでだと、店に入っていった。

やはり中には大勢の人が居て思うように見つけられない、
何だよ、時間がないのにと店内をきょろきょろと、すばやく見ながら探した。奥に入るとあるペンダントが目に付いた。
雪の結晶の形をしたペンダントだった。

即決め、即買い、星一は、迷うのが好きでなかった。迷ってしまったらきっと買うこともなく店を出てしまう。
そんな傾向が自分にあることを知っていた。

そして、もうぎりぎりだろう時間になっていた、自分なら1時間は待てない、だが、もう1時間も過ぎようとしていた。
居ないかも知れないなと、約束の場所に近づくにつれて、ゆっくり歩き始めた。可奈を探すためだ。

人並みを覗き込むように、その先を見てほっとした可奈は、そこにじっと立っていた。
時折辺りを探すように見ながら待っていたのだ。こんな時、何て言えば良いんだ。

そうだ!名案!自身で納得しながら可奈に会うとすぐに、
深々と頭を下げて誤ると「タイヤがなー!車のタイヤがパンクしてなー・・・。」
「うん!」可奈は、うれしそうに星一を見ると
「待つこと慣れてるから、子供のころから、それに家に電話したのよ、お母さんが出て・・・、パンクって嘘でしょー」
疑いの目をしてなをうれしそうに言った。

「ああ!ごめん!出るのが遅かったからな。まさかの渋滞だし・・・。」
申し訳なさそうに言ったのを、「そうゆうのいらないよ!」「そうゆうのって?」星一は聞き返した。

「いい訳よ、いい訳とかいらないよ、こうして小早川さんがここに居るから、
私は会った時間が、待ち合わせた時間だもの」
「ん!」知り合って間もない可奈のことは星一自身、知る由もなかった。

何か、胸に刺さったその言葉が・・・。
やがて辛い思いをすることを星一は、気付かなかった。

風と香りの中で 12

師走も中旬になり、この日は、朝の早い時間から雪が降り辺り一面薄っすらと白く染まっていた。

北の国の方では、1センチから5センチの雪が積もっていると何処の天気予報も言っている。
日本の西側はこの冬初めての雪だった。

どんよりとした空は、灰色雲がどっしりと、まだ降らすよっと言わんばかりに広がっていた。

動き始めた電車の中は、暖かくもなく肩を竦めながら乗っている人も居る中で、
1人、上機嫌の女性が寒さも忘れ話してる。

「絶対だよ!絶対、やよには言わないでよ!」理沙は、真理子に口止めしながら智彦と、
出掛けてた事をうれしそうに話したが、真理子は、あまり聞きたそうでもなかった。

「で、付き合うとか、そんな話にでもなったわけ?」めんどくさそうに聞いた。
「そうねー?たぶん、これからそーなって行くのかなぁー・・・。」と、
にこにこしながら、目だけが上を向いて何かを思っている風だった。

「あっ!また降って来た。」窓の外を見ながら、
それにしてもやよは、どうしたんだろうと真理子は心配した。
いつも乗るこの電車が来る時間にホームにも居なく乗るまでホームを見渡していたが、
結局現れなかった。

結果、理沙と2人になって朝から、理沙のお惚気交じりの話を聞かされていた、
2人は仲が悪いわけでもないが、聞きたくもない話しだってあったのだ。
其の頃、弥生は父親の車の中で学校に向かっていた。

「雪かぁー、クリスマスに降ればいいのになぁー、結構ムードでるよねぇー」
理沙は、外を見ながら誰に言うともなく呟いた。

「まりさぁー、クリスマスどうするの?」
「何が?」真理子は、毎年決まって店の手伝いがあった。

両親が営んでる食堂は日本の行事こそ忙しかく真理子は、
そんなときこそ進んで手伝いに入っていた。

春になれば、試験と卒業、試験に受かれば家を出て遠く離れた街で、
1人暮らしと決めていたその大半を親から出してもらうので、
真理子は少しでも協力をしていた。

だから、彼氏とか、ボーイフレンドとかは必要なかった。
「私は、店の手伝いだから、今の私にはそーゆうのいらないわよ!」
理沙とは違うんだからと言わんばかりの口調は、真理子の芯の強さだったのかもしれない。

「智君に、パーティ誘われてんだよ」理沙は、この一言が最終的には言いたかった様子が、
そのうれしさが隠せないくらいの笑顔だった。

「良かったね。」無愛想でもない、特に良かったね理沙と、
そんな気持ちでもない返答は扉が開いたと同時に流れ込んできた風に、流され言った。

足元から、流されてきた冷たい風が電車の中を、また凍えさす、
2人はホームに降り、薄っすらと積もっている雪の所処の足跡が余計に滑りやすく2人は、
ゆっくり下を向いて歩きながら「まり!、やよには内緒にしててよ!パーティーのことも・・・。」

「・・・・・。」何も言わない真理子にも気にしない理沙は、降っている雪を見て、
手の平を広げ受け止めようと、無邪気に喜んで「初雪なんだねぇ」と、真理子を見た。
真理子は、そんな理沙を時々羨ましく思った。

風と香りの中で 11

暫くすると、人波の中から現れた智彦に、小さく手を振って微笑んだ。
「ごめんよ!」時計を、チラリと見た。

「平気だよ!何時間でも待つよ智君なら・・ね!」
うれしさが滲み出るくらいの表情で、また、微笑んむと「どれくらい振り?」と、
智彦を見て答えを悪戯ぽい顔して待つ、理沙に「何のことだ!」と言わんばかりの、
顔をして首を傾げた。

こうして二人で出掛けるのは、初めてではなかったが智彦は忘れてしまっていたが、
理沙は、まるで昨日の事のように覚えていたのだ。

「何時だったっけ?」と言いながら歩き始めた智彦について、
理沙も歩き始め「やよが、一日だけ入院したときよ。」
「あっそうだ!そうだ」何かを思い出した時のように
「そうだよなあ!なんで入院したんだっけ?」と、
思いだそうとしてるのか立ち止まって考えた。

「知らない!」
ちょっと気に入らないな気分で答えたが
「あれからだよな。仲良くなって行ったのは・・・。
小さくて、どう見ても高校生には見えなくてな」と智彦は、まだ続けて話してた。

「もおいいよ!」言葉になってなく、
一人ゆっくり歩き始めた理沙の横に並んで歩きながら「怖い!って言われたよ」 
「えっ!」今度は、理沙が立ち止まった。

後ろから来ていた人たちは、思わず流れが止まった川のように、
慌てて横をすり抜けて行った中で、
「それが、別れた理由なの?」「わかんない、何が怖いのか。」智彦は、歩き始めた。

「あいつ、何かしっかりしてるよ。僕なんかよりズっーと大人だし、で、可愛いしな。」
「いいよ、もう!」理沙は、だんだん苛々してきてた。
理沙は、智彦とは中学からの知り合いだった。

だからなのか、いつか付き合うだろうと思っていたのは、理沙の方だけで、
智彦は、弥生と知り合って一年後に付き合う事となった時の、
理沙の気持ちは誰にもわからなかっただろう。

でも、今、弥生と別れてしまった智彦の事は、やっぱり自分のほうが判ってるんだと、
やよと別れ淋しさもあって・・・。

理沙は、楽しい気分だった数分前の気分から落ちていきかけたが、
「智彦のばーか!」と思いっきり心の中で叫び顔を上げると、
智彦の手を取り歩き始めた。理沙も、しっかり大人になりかけてた。

いきなり手を取られ、びっくりしながらも、それにつられ横に並び、
人波の中に手を繋いだまま二人は消えて行った。